『HUNTER×HUNTER』連載初期と現在で作画が激変したキャラクターまとめ

ハンターハンター

冨樫義博先生の『HUNTER×HUNTER』は1998年の連載開始からすでに25年以上が経過している長期連載作品です。長く描き続ける中で作者自身の画力や絵柄の好みが変化していくのは自然なことですが、本作は特にその変化の幅が大きく、「初期と今とではまるで別のキャラクターに見える」と語られることの多い作品でもあります。ここでは、代表的なキャラクターごとに作画がどう移り変わっていったのかを整理してみます。

全体の傾向:なぜここまで絵柄が変わったのか

具体的なキャラクターの話に入る前に、作画変化の背景にある大きな流れを押さえておきます。

  • 連載初期(ハンター試験編〜天空闘技場編):線が丸みを帯びていて、いわゆる王道少年漫画的なタッチ。キャラクターの目や輪郭もシンプルで、コマ割りも比較的オーソドックス。
  • 幻影旅団・グリードアイランド編あたり:キャラクターごとの陰影表現や、目元だけを大写しにする独特のコマ使いが増え、「冨樫調」と呼ばれる個性的な演出が確立していく時期。
  • キメラアント編:絵の密度が一気に上がり、線も鋭くシャープに。キャラクターの顔つきが全体的に大人びて、彫りが深くなった印象を持つ読者が多い時期です。
  • キメラアント編後半〜継承戦編〜暗黒大陸編(現在):休載を挟みながら再開するたびに描き込みが増え、背景やペン入れの緻密さが格段に向上。ネット上では「奥さんが手伝っているのでは」と話題になったこともあるほど、初期とは画面の情報量そのものが変わっています。

こうした変遷を踏まえたうえで、特に「初期と現在の差」が大きいと言われるキャラクターを見ていきます。

ゴン=フリークス

主人公であるゴンは、連載当初は丸顔でつぶらな瞳、いかにも少年らしい素朴な顔立ちで描かれていました。天真爛漫さが絵そのものが体現しているようなデザインです。

しかし物語が進むにつれて目つきが鋭くなり、輪郭も細くシャープに変化。顔の縦幅も徐々に短くなっていき、生え際が中央にせり出すいわゆる富士額のようなラインで描かれることが増えていきます。この額の形の変化も相まって、初期の丸顔で幼い印象から、キリッとした顔立ちへの移行がより際立って感じられるようになりました。特にキメラアント編終盤、感情を爆発させる場面では、初期の丸みを帯びた顔立ちからは想像しづらいほど鋭利な表情で描かれ、多くの読者に衝撃を与えました。少年らしい柔らかさから、内面の激しさを絵で表現するスタイルへと大きく舵を切った例と言えます。

© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」
© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」

アイザック=ネテロ

ネテロ会長は初登場時から高齢の人物として描かれていますが、初期はシンプルな線で飄々とした雰囲気のキャラクターでした。キメラアント編でメルエムと死闘を繰り広げる場面に至っては、皺の一本一本や筋肉の躍動感まで緻密に描き込まれるようになり、初期の飄々とした「じいさん」のイメージから、圧倒的な戦闘描写に耐えうる重厚な作画へと大きく進化しました。

© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」
© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」

ピトー

ピトーはキメラアント編で登場した護衛軍のキャラクターですが、この作品内だけでも作画の変化がはっきり見て取れる例です。初登場時は猫のような顔立ちがシンプルな線でコミカルに描かれ、飄々とした不気味さを持つキャラクターとして登場しました。

しかし物語が進み、コムギとの関係や戦闘シーンが描かれるようになると、目元や表情の陰影が格段に緻密になり、線も繊細に。特にネテロとの死闘や、コムギを救おうとする場面では、初登場時のどこか軽い雰囲気とは対照的な、繊細で憂いを帯びた作画になっています。同じ編の中だけでもこれほど絵柄の密度が変わるキャラクターは珍しく、キメラアント編そのものが冨樫先生の作画スタイルの転換点だったことをよく表す例と言えます。

ちなみに、この後半のピトーをめぐっては「冨樫先生の奥さん(漫画家の武内直子先生)がペン入れを手伝っているのでは」という説がファンの間でたびたび囁かれています。真偽のほどは定かではありませんが、目元の丸みや睫毛の繊細さなど、たしかに少女漫画的な柔らかい可愛らしさが増しているのは事実で、この説に妙な説得力を感じてしまう読者も多いようです。

© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」
© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」

センリツ

センリツはグリードアイランド編で初登場した際、優れた聴覚を持つ音楽家ハンターとして登場しましたが、その顔立ちは頬がこけ気味でどこか老けた印象の、素朴で地味な線で描かれていました。年齢不詳ながら「渋いお姉さん」というより「お婆さんっぽい」と評されることも多い、あっさりとしたデザインだったのです。

ところが後の継承戦編で再登場を果たすと、目がぱっちりと大きくなり、頬のラインも丸みを帯びて、一気に愛らしい顔立ちに様変わりします。髪や衣装の質感、表情の陰影といった描き込みも大幅に増え、初登場時の飄々とした「老け顔」の面影はほとんど感じられません。出番自体は多くないキャラクターながら、登場するたびに「可愛くなった」と話題になるほど作画のレベルが上がっていく様子がよく分かる一例です。

© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」
© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」

ベンジャミン

暗黒大陸編で登場した王子。ベンジャミン。
初登場時はライバルである王子ツェリードニヒと話しているときに感情が昂りすぎてペットのライオンを絞め絞めしている姿が印象的でした。個人的には「こいつ碌なキャラしてねーわ」とドンびいたのを覚えています。
一転。王位継承戦が開始されると同時に、部下に対しての礼儀や礼節を重んじる態度が顕著にみられ、いまではもうスコスコです。
部下であるヒュリコフのガンギマリの覚悟を前に汗をかきだすベンジャミンさんは初回の画風とはうってかわっていい感じのおじさんでした。

© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」
© 冨樫義博/集英社「HUNTER×HUNTER」

にしても顔変わりすぎだよベンジャミンさん、、

まとめ

こうして並べてみると、『HUNTER×HUNTER』の作画変化は単に「絵が上手くなった」というだけでなく、キャラクターの内面の変化や物語のトーンの変化に合わせて意図的にタッチを変えている側面も強く感じられます。連載初期の素朴でポップな絵柄には少年漫画らしい勢いがあり、一方で現在の緻密で陰影の濃い絵柄には、長く連載を重ねてきたキャラクターたちの背負ってきたものの重みが表れているようにも見えます。

初期の単行本と最新刊を読み比べてみると、同じ作品とは思えないほどの変化に驚かされるはずです。ぜひ手元の単行本で見比べてみてください。

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